写真/PantherMedia/イメージマート
(歴史家:乃至政彦)
大きな話題を呼んでいる3本のアニメ映画『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』、『LUPIN THE IIIRD 不死身の血族』、そして『KING OF PRISM -Your Endless Call-』。全く異なる世界を描くこれらの作品に、一つの「共通点」があることにお気づきだろうか。それは、単なるリメイクでもリブートでもない。物語の歴史を1ミリも変えることなく、その意味と感動だけを根底から塗り替えてしまう、魔法のような新手法だ。本稿では、その創作法をそれぞれ追跡していく。
*人気漫画や映画の考察に定評のある乃至政彦さんが歴史家ならではの視点で、作品世界の「歴史の謎」に挑んだ『歴史家が紐解く「鬼滅の刃」の世界』の続きをシンクロナスにて配信中です。こちらもぜひお楽しみください。
はじめに
この夏のアニメ映画は、話題作が多い。
今回はそのうち、私が鑑賞した『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』(以後『ジークアクス』と略)、『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』(以後『不死身の血族』と略)、『KING OF PRISM -Your Endless Call-み~んなきらめけ!プリズム☆ツアーズ』(以後『キンツア』と略)に焦点を当てて、それぞれの個人的な感想を述べていくこととしたい。
理由は、この3作には独自の強い共通点があり、時代の転換点に立ち会った印象を持ったこと、そしてこれを指摘する様子がまだどこにも見当たらないことにある。
それは、「過去作に新解釈を加えることで、過去作の意味を作り直す」という手法だ。どういうことなのかは、これから3作を個別に掘り下げて述べていく。
なお、『ジークアクス』と『不死身の血族』はどちらも映画単体で完結せず、テレビ作品と組み合わせて意味をなす作品なので、それも合算して評する必要がある。よって映画だけでなく、テレビ作品の説明も進めることをまず断らせていただきたい。
それぞれ順番に論じていく。ネタバレを回避したい人は、ここで画面を切り替えて、別の記事を楽しんでもらいたい。