膨らむプライベートクレジットにリスク

 金融業界が警戒を強めているプライベートクレジット(ファンドによる企業融資)がAI関連投資に積極的であることが明らかになっているからだ。メタが今年6月、プライベートクレジットから290億ドル(約4兆5000億円)の資金を調達したことがその典型例だ。

 高利回りが期待できるプライベートクレジットの市場規模は1兆7000億ドル(約270兆円)に膨らむ。

 プライベートクレジット市場は保険企業にとって欠かせない運用先となっており、北米では投資額の約3分の1がプライベートクレジット向けになっているほどだ。

 市場が急拡大しているのにもかかわらず、業界は寡占状態だ。

 米マッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、昨年のプライベートクレジット全体の55%を上位10社が占めた。一握りのファンドに資金が殺到しているため、融資の審査基準が緩みがちになり、融資先の信用力低下を示す事例が増加していると言われている。

 融資先である企業の倒産件数が増加していることも気になるところだ。