次の金融危機はどこから?写真は米ニューヨーク証券取引所(写真:AP/アフロ)
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
雇用不安が高まっているものの、米国の個人消費は相変わらず堅調のようだ。
今年の年末商戦における消費支出は1兆ドル(約150兆円)を超え、過去最高を更新するとの予測が出ている。
だが、内実は危ういと言わざるを得ない。低所得層と高所得層の間で消費動向が二極化する「K字型」の傾向が鮮明になっているからだ。
「低所得者向け」に危うさ
低所得層の間に広がるいたみは金融市場のストレスになりつつある。
ニューヨーク連銀が11月5日に公表した報告書によれば、第3四半期の家計債務残高は18兆5900億ドル(約2840兆円)となる中、返済が30日以上延滞した債務は全体の4.5%に達し、2020年第1四半期以来の高水準となった。特に深刻なのは学生ローンで、第3四半期の返済延滞率は過去最高の14.4%に上昇した。
債務の質の劣化も気になるところだ。
信用調査企業トランスユニオンの調査で、第3四半期の個人向け与信全体のうちサブプライム(信用力が低い)の借り手が占める割合が14.4%と、2019年(14.5%)以来最も大きくなったことが明らかになっている。
この傾向が顕著なのが自動車ローンの分野だ。ブルームバーグは「自動車ローンの延滞率は過去15年間で約50%上昇した」と報じている。第3四半期の平均支払額は767ドル(約12万円)、金利も9%を超えており、延滞がさらに増えるのは確実だ。
サブプライム自動車ローン金融市場を動揺させ始めている。