AIバブルの崩壊は近い?(写真:ロイター/アフロ)
目次

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 人工知能(AI)関連投資がバブル化しているとの観測が広がっている。

 AI関連投資の巨額さには目を見張るものがある。

 直近では、米テック大手メタとオラクル、アルファベット3社が9月以降、合計655億ドル(約10兆円)の資金を中長期債(40~50年物を含む)で調達したことが話題を呼んだ。日本経済新聞(QUICK・ファクトセットで集計)によると、世界のテック企業約1300社の有利子負債の合計は約1兆3500億ドル(約212兆円、6月末時点)と10年前の約4倍に膨らんでいる*1

*1世界のテック、借金200兆円(日本経済新聞電子版)

 規模の大きさに加え、投資回収の期間が短いことも難点だ。ドットコムブーム時の光ファイバーケーブルなどと異なり、AIの基幹部材である画像処理半導体(GPU)の製品サイクルは5年未満と短期間だ。

 一方、RBCキャピタルマーケッツによる、AIサービスに料金を支払う企業が最近減少しているという調査結果*2が明らかにしているように、投資資金の回収は容易ではない。

*2AIサービスに料金を支払うアメリカ企業が減少(Business Insider)

「AI関連の大規模な設備投資に見合う収益が実現するかどうか見通せない」との懸念から、「投資に見合う利益を短期間に生み出すことができなければ巨額の不良債権が発生してしまう」との警戒感が広がっているのだ。

 このような認識は金融業界全体のコンセンサスとなりつつある。

 米バンク・オブ・アメリカが18日に発表した調査では、AI株高を「バブル」と捉える機関投資家の割合が53%と、過去最高を記録した10月(54%)と同水準だ。

 不吉な予言をする著名投資家も相次いでいる。