実際、小学生の娘2人を持つ都内在住の40代女性は次のように言う。

「今回の事件があってから、娘に『学校では先生のいくことをよく聞いて』とか『先生のことを信じて』と伝えていいものかどうか迷っています。『道で知らない人に声を掛けられても返事しないで』とか『おかしな人に付きまとわれたら防犯ブザーを鳴らして』とはこれまで口酸っぱく言っていましたが、それは校外でのこと。学校でのことについては、当たり前のように『困ったことがあったら先生に相談するように』と話してきました。

 ところが校内で盗撮したり、女の子を監禁したりする先生がいることが相次いで明るみに出ました。それだって氷山の一角かもしれません。でも、だからといって娘たちに『先生を信じてはいけません』とは言えませんし……。学校側で教室に防犯カメラを設置するとか先生方の普段の行動をチェックするとか、そういった管理をしてくれたらなと思います」

逮捕されていない他のチャットメンバー

 確かに、10人程度いるとされる森山容疑者が立ち上げたSNSのグループチャットに関わった人間で逮捕されたと報じられているのは、森山容疑者、小瀬村容疑者、水藤被告の3人だけだ。

 残りのメンバーは今も教室で子どもたちの前に立っている可能性が高い。

 7月1日、阿部俊子文科相は、グループチャットに参加していた教員たちに対して「子どもたちの前からすぐ離れて、一刻も早く名乗り出てほしい」と呼びかけたが、おそらく自ら名乗り出てくる者はいまい。せいぜい彼らは、警察の捜査が自分の身辺に及んでこないか、首をすくめて戦々恐々としているくらいだろう。

 一方でわれわれは、子どもにとって安心で安全な場所と思われてきた学校が、実は児童に対して邪(よこしま)な感情を抱く大人が紛れ込む場所となっている現実を直視しなければならないのかもしれない。