Pete LinforthによるPixabayからの画像
現在のAIはインターネット革命の第3幕
12月23日、東京・渋谷のスクランブル交差点からほど近いライブハウスで、スタートアップ関係者が集まるイベントが開かれました。
年末らしい熱気に包まれた会場で、起業家やエンジニアを前に、ひときわ印象に残る発言がありました。
登壇したのは平井卓也衆議院議員。初代デジタル大臣であり自民党デジタル社会推進本部長です。平井議員は次のように述べました。
「AIは、ある日突然生まれた技術的断絶ではない。インターネット革命の延長線上にある第3幕だ」
この一言を聞いた時、政策論というより、経営者が今の状況をどう捉えるべきかを示す座標軸になると思いました。
AIを未知の怪物として恐れる必要もなければ、万能の切り札として持ち上げる理由もありません。
重要なのは、すでに進んできた変化の流れの中で、何が臨界点を超えたのかを見極めることです。この視点を欠くと、AIへの向き合い方は必ず極端に振れます。
現在のAIブームを支えている中核技術の一つに、ニューラルネットワークがあります。
これは人間の脳の仕組みを数学的に単純化したモデルで、決して最近生まれた理論ではありません。基礎的な考え方自体は、すでに数十年前から研究されてきました。
にもかかわらず、なぜ今になって急に実用段階に達したように見えるのか。理由は単純です。
理論そのものが変わったのではありません。それを動かすための前提条件が、ようやく揃ったのです。
理論はあったのに、なぜ今までこれほどの能力を発揮できなかったのでしょうか。それは、理論を動かすための「燃料」と「エンジン」が足りなかったからです。
ここで言う燃料とは、インターネット革命以降に蓄積された膨大なデジタルデータです。
エンジンとは、クラウドによって利用可能になった巨大な計算資源(GPUなど)になります。
インターネット革命の歴史を振り返ると、その必然性が見えてきます。
第1幕(接続)は、コンピューター同士が繋がり、世界中の情報にアクセスできるようになりました。
第2幕(蓄積)は、スマートフォンやSNSの普及により、人類のあらゆる知識、会話、画像、行動履歴がデジタルデータとしてクラウドに蓄積されました。
そして今、私たちは第3幕(生成)にいます。
平井議員が登壇したイベントの告知