成熟期を迎えたインターネット
第2幕までに蓄積された人類の膨大なデータを学習したことで、AIは言葉を操り、画像を生成できるようになったのです。
つまりAIは、未知の理論が突然発見されたわけではなく、昔からある数学や統計の理論を、インターネットが生み出したデータの海と計算力によって極限まで拡張した結果になります。
データの蓄積と計算資源の集中が、ある臨界点を超えた瞬間に、AIという形で現れたと見る方が自然です。
これはAI研究における「スケーリング則」の一つとして知られています。
データの量と計算資源を一定の値まで高めると、それまでできなかった高度な推論が、ある日突然、湧き上がるように可能になるという現象です。
現在のAIブームは「たまたま」起きた流行ではなく、インターネットが積み上げたデータが知能として使える値を超えた必然的な結果なのです。
この整理に立つと、AIが社会に急速に浸透している理由も理解しやすくなります。
インターネットが情報流通や商取引を変えたように、AIはそのさらに上流に入り込みました。
検索、翻訳、企画、創作、意思決定補助といった知的活動そのものを再編成し始めています。
重要なのは、これは第2の革命ではないという点です。インターネット革命が成熟段階に入り、形を変えながら次のフェーズに進んでいる過程と見るべきでしょう。