
今年も鬱陶しい梅雨のシーズンが訪れた。ジメジメとした梅雨であるが、筆者の趣味である渓流釣りには絶好のシーズン到来である。雨が降ればサカナの活性が盛んとなり上流から流れてくるエサに食らいつく可能性が高くなる。もちろん雨量が多すぎるとそれどころではないが、森が深い支流では多少の増量があっても濁りもないところもある。
しかし、これからの時期に注意しなければならないのが雷である。例年よりも雷発生の頻度は年々増すようになり、落雷を伴ったゲリラ降雨も多くなっている。昨年の落雷は全国で実に458万6000回もあり、梅雨ごろから落雷の本格的なシーズンが始まる。まだ今年は半分しか経っていないにもかかわらず、すでに落雷による被害が発生している。
学校のグラウンドに
今年4月10日の夕方に奈良市の私立中高の帝塚山学園第2グラウンドに落雷があり、部活動中の複数の生徒が倒れるという事故が発生した。
筆者も取材先があった関係で現場付近には何度も通っているが、大阪市内から東大阪市を貫いて県境の生駒山の下のトンネルを抜ければこの現場に辿り着く。そこは高台でもない平坦な場所である。
学校の発表によれば、夕刻午後5時50分ごろに小雨が降り始め、いったん止み、強い雨が降り始めた直後に落雷があったという。事故発生当時はサッカー部など複数の部活動の生徒114人と顧問教員ら8人が現場にいた。
直後に現場に来た教員ら2人がそれぞれ119番通報し、現場でAEDを使用し、心肺蘇生を施した。その後6人の生徒が救急搬送され、3人は保護者の付き添いで当日中に帰宅、3人は入院したという。
その後4月18日の報道によれば、入院中とされていた男子中学生3人のうち1人は16日から登校して2人が入院中。1人は意識を回復し治療中だが、1人はその後も意識不明の重体という。
学校はこの事故について会見を開き、当時の状況を説明している。
まず学校の責任を問われ、それについては認める一方で、「当日は急激な天候の変化が起こり、防ぎきれなかったと考えている」と説明。また、すぐ教員がAED対応していることを踏まえ、「顧問の動きとしてはやれる限りのことはやっていたと思う」と述べた。
ただ、現場にいた顧問教諭らは雷注意報が出ていたことを把握していたかと問われ、「野球部の顧問教諭1人は認識していたが、(他の部の)顧問は把握していなかったと聞いている」と学校側は回答している。
落雷に対し、校内には避雷針を備えた屋根付きスタンドを15年前に設置するなど対策を取ってきたという。公立学校でこのような対策を取ることはあまり聞かない。私立学校ならではであり、回答からは学校としてできる対策を取ってきたという自負も感じられる。
近くの住人の「パラパラと雨が降る中、『ドーン』と大きな音が1回した。ゴロゴロという音もなかった」という証言からも、まさに突発的な天候の変化があったと思われ、その場で教員が予測して臨機応変に対応することは難しかったと推測される。