北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督(写真:産経新聞社)

 今季の北海道日本ハムファイターズの勢いは本物である。22年、新庄剛志が監督になって最初のシーズンは6位、23年も最下位に沈んだが、ビッグボスからは悲観的な声は聞かれなかった。

「今は選手を育てているんですから」

 悔し紛れの言葉だと思っていたプロ野球ファンは、いま「新庄の言葉に嘘はなかった」と思い直しているのではないだろうか。

選手をその気にさせるのが上手い

 昨シーズンはリーグ2位となり、優勝が手の届く位置までチーム力が向上していることを証明してみせた。

 そして25年の今シーズン――。6月22日現在、69試合で40勝27敗2分けで、2位オリックスに2.5ゲームの差をつけてトップに君臨している。まだシーズン折り返し前とはいえ、このままの調子で突っ走れば新庄監督の胴上げシーンが見られるかもしれない。

「好調の最大の要因は新庄采配がズバズバ決まっていることでしょう。若い投手陣が頑張っていますし、チームの“安打製造機”だった近藤健介が22年オフにソフトバンクに移籍したのは痛かったですが、そこも若手がバックアップして打線の力を維持しています。

 やはり、選手たちの距離が近く、選手の動きや個性を新庄監督が熟知しているのが采配に生きています。人間的にも懐が広く選手を褒めるのが上手で、選手を上手くその気にさせて実力以上のものを引き出しているように思います」(スポーツ紙デスク)

 たとえば成田高校から2018年ドラフト6位指名で入団したプロ7年目の捕手・田宮裕涼(ゆあ)。6月22日時点で26試合に出場し、打率.244、本塁打2、打点5。6月15日のセ・パ交流戦の広島戦では、7-7での延長10回裏にサヨナラ弾を叩き込み、ファンを歓喜させた。

6月15日、交流戦・対広島戦で10回にサヨナラ本塁打を放ち歓喜する日本ハム・田宮裕涼(写真:産経新聞社)

 丸亀城西高校からJR四国を経て2021年ドラフト3位で入団した水野達稀(たつき)も今シーズン、輝きを増している選手だ。同じく6月22日時点で41試合に出場、打率.238、本塁打3、打点19の活躍だ。

5月16日、対ロッテ戦で7回に3点本塁打放った日本ハム・水野達稀(写真:産経新聞社)

 そして筆者が特に若手の台頭を印象付けられたのが、6月19日の交流戦での巨人戦だった。