この試合、先発の北山亘基(こうき)26歳が巨人打線を相手に7回二死まで1人のランナーも出さない完全試合のペースであったが、フォアボールを出してしまい、完全試合は夢になってしまう。

 ならば次に狙うのはノーヒットノーランだ。これも9回ワンアウトまでノーヒットピッチングを続けたのだが、あと2人で偉業達成というところで、巨人の捕手・大城卓三に変化球を右翼スタンドに運ばれ、4-1となってしまった。

 完全試合もノーヒットノーランも、さらには完封も逃してしまったわけだが、北山は意気消沈することもなく、その後も淡々と投げ、今季5勝目(2敗)の仕事をやり遂げた。

6月19日、交流戦・対巨人戦で、試合に勝利しタッチを交わす日本ハム・北山亘基(写真:産経新聞社)

ドラフト8位で入団

 北山は京都府北桑田郡京北町(現:京都市右京区)の出身。京都成章高校時代には、3年夏にエースとして甲子園に出場。初戦(2回戦)の神村学園戦で8回まで11奪三振と好投したが、チームはサヨナラ負けを喫した。高校時代の最速は146kmで、プロ野球志望届を提出したが、2017年度ドラフトでは指名漏れとなった。

 その後は京都産業大学に進学し、関西六大学野球リーグでは1年春からベンチ入り。1年秋のリーグ戦では抑えのエースとして優勝に貢献した。2年春のリーグ戦では平古場賞(新人賞)を獲得。4年春のリーグ戦では開幕から2試合連続完封勝利を挙げるなど、リーグトップの59回1/3を投げて69奪三振を記録、最優秀投手賞を獲得した。

 4年秋のリーグ戦では自己最速の153kmを計測。最終的に大学4年間ではリーグ通算14勝を挙げた。

 そして満を持して臨んだ21年10月のドラフト会議だったが、なかなか北山の名前は呼ばれない。スポーツ紙の記者からも「なんで指名されないの?」という疑問の声が上がりはじめる中、ようやく北海道日本ハムファイターズから8位で指名を受けた。12球団全体では77人中76番目の指名だった。ちなみに後述するが77番目の指名も日本ハムであった。

 契約金2000万円・年俸700万円(いずれも金額は推定)で仮契約を結んだ。背番号は57が与えられた。