EVIL(左)を締め上げるウルフアロン(写真:共同通信社)
柔道男子100キロ級で東京五輪金メダルを獲得したウルフアロンが、プロレスラーとしての第一歩を踏み出した。舞台は年明け早々の1月4日、東京ドーム。新日本プロレス最大の祭典「WRESTLE KINGDOM 20 in 東京ドーム 棚橋弘至引退」。
観衆4万6000人超が詰めかけた超満員の大舞台で、ウルフはデビュー戦にしてNEVER無差別級王座に挑み、王者EVILを逆三角締めで失神KO。日本人五輪金メダリストとして史上初のプロレス転向、そしてデビュー即戴冠という前代未聞の快挙を成し遂げた。
黒のパンツと黒のリングシューズだけのスタイルに込められたメッセージ
東京ドームの空気は、試合前から張り詰めていた。リングサイドを埋め尽くす観衆の視線が、入場ゲートに集中する。前日の記者会見で、EVILは「俺は王座を懸ける。負けたら坊主にしろ。柔道着も二度と着るな」と、常軌を逸した条件を突きつけた。ウルフは渋々ながらそれを受け入れたものの会見後の写真撮影ではEVILから不意を衝くトーキックで強襲され、スーツの下に着用していた白地のシャツをビリビリに破かれた。
そして迎えた当日。ウルフは自ら長髪を剃り落とし、丸刈り姿で現れた。柔道着をまとって登場する――そんな安易な演出は、リングイン直前に否定された。入場ゲートで新日本プロレスのライオンマークが入った柔道着を脱ぎ捨てると、姿を現したのは黒のパンツとリングシューズだけ。派手な装飾も、奇をてらったデザインもない。新日本プロレスが長年掲げてきた「ストロングスタイル」を体現するかのような、無骨な姿だった。
まさに新日本プロレスに受け継がれる「ストロングスタイル」を体現した格好でデビュー戦のリングに上がったウルフアロン(写真:産経新聞社)
鳴り物入りでデビューする大物新人は、ド派手なコスチュームで話題性を優先する――そんな“お約束”を、ウルフは見事なまでに自ら裏切った。その選択はプロレスを長年見続けてきたファン、とりわけ近年のビジュアル重視の潮流に距離を感じていたオールドファンの心も、一気に引き寄せる結果となった。
