ブルペンでの3球、それだけで北山に「一軍行き」を告げた新庄監督の慧眼
晴れて日本ハムのユニフォームに袖を通した北山は、22年の春季キャンプを二軍でスタートする。そこに視察に訪れたのが、監督に就任したばかりの新庄剛志だった。新庄監督は北山がブルペンで投じたストレート3球を見て「明日から一軍だ」と即決し、北山を一軍に合流させた。ドラフト8位のルーキーがいきなり一軍に呼ばれたのだからまるで漫画のような話ではあるが、話はそこで終わらなかった。
オープン戦では中継ぎとして5試合・6イニングを投げ、無四球13奪三振無失点と抜群の成績を残した。すると開幕2日前、新庄監督はインスタグラムで北山を開幕投手に起用することを発表したのだった。
こんな展開は当の北山も夢にも思っていなかっただろう。
福岡ソフトバンクとの開幕戦が北山のプロ初登板・初先発となった。2回47球2安打3四球1奪三振無失点という上々の内容でマウンドを降りた。チームは敗戦を喫したものの、北山はオープナーとしての役割を全うした。
この年の北山の成績は3勝5敗・防御率3.51。翌23年は6勝5敗・防御率3.41で、前述のようにこの2年間チームは最下位に甘んじた。そして2位となった24年シーズンは5勝1敗・防御率2.31と順調に成績を伸ばしてきた。
今年は6月22日現在で5勝2敗で防御率1.15。ドラフト8位の選手が見事な花を咲かせている。