機械スイッチの廃止で仕上がりが興味深い「ボイスコマンド」

 第1世代、第2世代リーフが安っぽいという指摘を事あるごとに受けてきたインテリアのクオリティーについてはアリアに準じる形で大幅アップが図られていることは実車に触れずとも写真だけで容易に推察できる。その中で唯一気になるのは、先にインテリアの項目で述べたボイスコマンドの完成度である。

 最近のBEVはテスラ「モデル3」、ボルボ「EX30」など、機械スイッチを大幅に減らしてディスプレイ上で機能操作を行うものが激増している。使い勝手そのものは手探りでもある程度操作可能な機械スイッチのほうがいいに決まっている。物理スイッチ廃止で不便を感じるか否かを左右するのがボイスコマンドだ。

 最近のBEVのエージェントは決まったコマンドを声で入力するのではなく「運転席の窓をちょっと開けて」「エアコンを外気導入に」「○○に行きたい」等々、適当に話せばその意図をAIが文脈から判定し、操作を実行してくれる。

 エージェントの性能が優れているのは圧倒的にApple、Googleなどの通信プラットフォーマーで、それを採用したクルマではその精度の恩恵を受けられる。それに対して自動車メーカーが独自に開発したボイスコマンド機能はどの陣営も似たり寄ったりで、正直ほとんど使い物にならない。

 アリアも御多分に漏れず、物理スイッチを減らすことで生み出された静謐な和モダン空間をボイスコマンドの使いにくさが台無しにしているという感があった。第3世代リーフがデジタルネイティブ世代を含む幅広いユーザーから先進的と思ってもらうには、そのネガが解消されている必要がある。実際の仕上がりが興味深い。