要素技術をほぼ全面刷新する第3世代リーフのアウトライン

 第3世代リーフが世界のユーザーから好評を博すことができれば、アリアもハードウェア、ソフトウェア双方のバージョンアップ、および価格の大幅引き下げを行う必要はあるものの、再び脚光を浴びる機会を得られよう。

 問題は、第3世代リーフはそんな大役を務められるモデルになっているかどうかだ。まずは公開された情報からアウトラインを精査してみよう。

 ボディサイズは全長4360mm×全幅1810mm×全高1550mm。現行モデルと比較すると全長がマイナス120mm、全幅がプラス20mm、全高がプラス5mm。全長こそ切り詰められているが、全体のディメンションは外観のキャラクターチェンジから受ける印象ほどには変わっていない。

第3世代となる新型リーフ

 一方でクルマを構成する要素技術はほぼ全面刷新。プラットフォームはルノーとの共同開発品でルノーのEV事業子会社であるAmpR(アンペア)社の中大型モデル用モジュール「AmpR Medium」。これはアリア、ルノー「メガーヌE-TECH EV」などに採用実績があるBEV、PHEV(プラグインハイブリッドカー)兼用のプラットフォームで、先進国向けのハイスペックモデルを作るためのもの。

 第1世代、第2世代のEVプラットフォームは現在よりずっと高かったバッテリーパックのコストを吸収するため、車体やサスペンションは極めてシンプルに作られていた。リアサスペンションがトーションビーム半独立式からマルチリンク独立式になるなど、旧型を起点とすると事実上2クラスアップを果たすようなものである。

 クルマの良さは設計時のチューニングがモノを言う世界なので乗ってみなければ何とも言えないが、走行性能、快適性、静粛性&防振など各種性能指標について向上の余地はかなり取れていることだろう。実際のロードテストが待たれるところである。

 駆動方式はFWD(前輪駆動)のみで、電動AWD(4輪駆動)システム「e-4ORCE」は採用されなかった。もっともAmpR Mediumプラットフォームは前後に電気モーターを積める設計となっており、実装のハードルは高くはない。BEVの世界ではAWD化は動力性能の向上に直結するため、モデルライフ途中で高性能版としてAWDが追加される可能性は小さくないだろう。