充電パフォーマンスの改善はどのくらい図られているか

 筆者が過去に行った日産製BEVのロードテストのデータに鑑みて、向上のカギを握るポイントを見ておこう。

 まずは航続性能を左右する重要なファクターである平均電費。車両重量は非公表だが、車体がリーフよりひと回り大きく、バッテリー総容量も多いルノー「セニック E-TECH EV」の空車重量が1850kgであることから、長距離型のB7でも1.7トン台に収めてくると推察される。

 車両重量1920kgのアリアB6(バッテリー総容量66kWh)を気温プラス1桁~10度台の環境下で走らせた時の平均電費は低中速で7km/kWh台半ば、地方高速で6km/kWh台後半、新東名の超高速区間で5km/kWh強だった。

 第3世代リーフは空気抵抗係数Cd値が0.26とアリアの0.297より良好であること、前面投影面積(車両を真正面から見た面積)がそもそもアリアより小さいこと、車両重量が軽いことから、B7で電費のアドバンテージを10%くらい得られることが期待できる。少ない電力量でより長い距離を走れるという点に関しては、ある程度満足のいくスコアになるものと考えられる。

 長旅で重要になる充電受け入れ性はどうか。日産は充電器出力のピーク値についてB7が150kW、B5が130kWと公表しているが、日本では充電器の仕様の関係で、B7で最高130kW程度(370V×350A)にとどまると考えられる。

 それでもピーク値74kW、理想的な状態での30分の充電電力量が32kWh程度だった第2世代リーフe+とはB5、B7とも比べ物にならないくらい良好なスコアを出せるだろう。また第2世代は長旅で急速充電を2回、3回と繰り返すたびに充電速度が大幅に低落したが、バッテリーの温度管理システムを持つ第3世代はそういうことはまずないと考えられる。

 繰り返し充電に強いのはアリアも同様だったが、先に述べたアリアB6と大容量電池版のアリアB9(総電力量91kW)では使い勝手が異なっており、B9は充電率が30ないし40%と高い状態でも長時間フルスピードで充電され、高性能充電器を使用した時は15分で31kWhとリーフe+と同等の電力量を半分の時間で得られた。リーフB7はアリアB9よりバッテリー総容量が小さいが、同じような充電受け入れ性を実現できていれば長距離ドライブ時の使い勝手は相当良いものになる。

 B5のほうはどうか。仕様的に近いアリアB6は高性能充電器で30分充電したときの最大値が43kWh、通常で40kWhとなかなかの好成績を収めたが、B9に比べると使い勝手は劣った。充電率30%前後で充電をスタートさせると本来の能力より遅いペースでしか充電できないのである。

 充電率が低い状態から充電を行った場合は30%を超えても30%から開始するよりずっと大きな電流値を得られていたので、バッテリー保護を重視したがゆえにそういう制御が組まれたというわけでもなさそうだった。BEVに詳しくないユーザーがポンと充電しても一定以上の充電パフォーマンスが得られるよう改善が図られているか、実車の出来が見ものである。