ファンタジー小説級の歴史歪曲の中で暮らしている国民

 このようなゾンビ状態で、中身はほとんど偽物の民主主義国家を継続していくよりは、共産化か南北統一か、どのような過程を経るかは分からないが、一度天地をひっくり返して、既存システムをすべて壊してしまったうえで新しい国家を作るのも悪くないと筆者は考える。

 どちらにせよこの大韓民国は、日本の敗戦後から朝鮮戦争の混乱の中でどさくさに紛れて建国された国家にすぎない。そして70年間、国民たちはその事実を受け止められず、ファンタジー小説級の歴史歪曲の世界で気持ちよくなっていた。

 筆者は大韓民国という国家が本当にまともな主権国家になるには、この虚構を破壊するしかないと思いながら、現実的に無理だと思って20年過ごしてきた。しかし今、目の前にこのチャンスがやって来たと言えるのではないだろうか。

 もちろん、前代未聞の混乱状態を経験することになるだろう。しかしこの国の国民は図々しく逞しく、さまざまな感情を表現しながら、乗り越えていくのではないか。かといって、巻き込まれるのはごめんだが……。

 来年の今頃、すでに長男は兵役を終えている。大統領選挙の結果によっては、長男の「日本留学」ではなく、立花家の「一家丸ごと撤退」になっているかもしれない。

立花 志音(たちばなしおん)
1977年生まれ 東洋英和女学院大学短期大学部キリスト教思想科卒業後、損保勤務を経てソウルに留学。2005年韓国で出会いの夫と結婚。現在2男1女を育てながら日本人が見る韓国をライターとして韓国内で活動中。