40%を超える支持率を誇る李在明氏(写真:AP/アフロ)40%を超える支持率を誇る李在明氏(写真:AP/アフロ)

(立花 志音:在韓ライター)

「お母さん、ボク、これが終わったら日本に行くから。もう決めた。この国は本当に終わったね。ホン・ジュンピョ(洪準杓、韓国の政治家)が一番マシだったのに、なんだよこれ」

 半年ぶりに長男が帰ってきた。玄関で「ただいま」と言ったような気もするが、相変わらず唐突で、主語がなかったり目的語がなかったり、傍から聞くと良く分からない会話が始まる。

 長男が言った「これ」というのは兵役期間のことである。彼は昨年18歳になり、本人の希望により大学入学より先に海兵隊に志願入隊した。韓国の成人男性には18カ月の兵役義務が課せられている。

 この日は、息子が入隊して初めての休暇をとって帰宅した日であった。涙の再会のはずだったのに、息子を抱きしめる隙も与えず、機関銃のように報告を始める。

 韓国の憲法裁判所により正式に尹錫悦大統領が罷免されてから1カ月が経とうとしている。そして、6月3日が次の大統領選挙の投票日に決まり、今は選挙運動真っ只中。カウントダウンに入っている。

 この国では投票日に満18歳になる国民に選挙権が与えられ、今回から息子にも選挙権がある。

「あなたはどうするの? 初めての投票なのに。軍の中に投票所を作るんでしょう?」
「えーそうだけど、もう知らないよ。いっそのこと李在明に入れちゃおうかな。どうせ決定でしょ」

 その後の会話を公表するのは問題が生ずる可能性があり省略するが、息子の服務期間が終わったら、息子が大学より先に入隊することになった経緯も含めて、いろいろとお伝えしたいと思う。

 その6月3日に行われる大統領選の状況を説明しよう。

 一番人気は息子の予想通り、前科4犯、今現在も公職選挙法の罪で裁判真っ最中の李在明氏である。