黒服系キャリアから脱却したアートワーク
そのハードながらもポップな音楽性はヴィヴィッドなカラーを用いたファッション&アートワーク周り同様に、2人の黒服系キャリアからの良い意味での脱却があったように思う。“ヴィニイル”というカタカナロゴも奇抜でイカしていた。当時はシーンに脱ヴィジュ(脱・ヴィジュアル系)やソフヴィ(ソフト・ヴィジュアル系)への潮目もあったし、裏原宿ブームのファッションの流行もあった。何より、サイバー系ファッションの最先端を行っていたhideの影響力は大きいはず。
その後は先述の「20世紀のマスタード」が日本テレビ系『進ぬ!電波少年』エンディングテーマとしてシングルカット(1998年3月4日リリース)、テレビ東京系『64マリオスタジアム』エンディングテーマ表題曲「ずっとそばにいて」(1998年5月13日リリース)と2枚のシングルをリリースするも、1999年12月31日を以って活動を停止した。
福井は2000年4月29日、渋谷ON AIR EASTでのソロライブを以って引退。そして2012年5月4日、病気を克服した旧友の呼びかけによってVINYLは1日限定で復活している。
そして、2024年の再始動である。ライブのみならず、過去の未発表音源もアナログ盤でリリースした。冒頭で述べたライブは、PATAとhide with Spread BeaverのDIEが在籍するバンド、Ra:INとの2マンだった。
6月からはKIYOSHI率いるMAD BEAVERSとのスプリットツアー『NOTHING BUT FUTURE』を開催するVINYL。往年のファンにはたまらない攻勢である。