ハリスは「米国の理想を放棄」と糾弾

「もう一人の敗軍の将」であるカマラ・ハリス前副大統領(前民主党大統領候補)はこれより先の4月30日、サンフランシスコで開かれた政治団体の資金集めの会合で演説した。

 そして、「トランプ氏は就任100日にして米国の最高の理想を大安売りし、放棄してしまった。現代の大統領史における最悪の経済危機を引き起こした」と糾弾した。

(ハリス氏は、2025年のカリフォルニア州知事選に立候補するのではないか、といった憶測がまことしやかに流れている)

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 バイデン、ハリス両氏がこのタイミングで沈黙を破り、トランプ批判に出た背景には、トランプ支持率の激減がある。

 各種世論調査(平均)では、支持率は45.1%、不支持率51.1%。大統領選でのセールスポイントだった経済政策の支持率は40.3%、インフレ対策でも支持率38.3%と落ち込んだ。

「国は誤った方向に進んでいる」と答えた人は52.1%にもなっている。

President Trump Job Approval | RealClearPolling

President Trump Approval - Economy | RealClearPolling

President Trump Job Approval - Inflation | RealClearPolling

Direction of Country | RealClearPolling

共和党内からも「中間選挙で負ける」の声

 そうした中で、共和党からもこのままでは来年の中間選挙では民主党が圧勝し、上下両院で過半数を奪われるとの予測が出始めた。

 民主党からは、上院最高位のチャック・シューマー院内総務から「我々は2027年議会で多数派になる」と、大胆な予想が飛び出した。

 シューマー氏は常に冷静沈着で、めったに選挙予想など口にしない。

 もっとも、上院選で民主党が勝てば同氏は名実ともに上院を動かせる多数党院内総務に返り咲くだけに、多少は希望的観測が含まれていそうだ。

How Democrats Hope to Overcome a Daunting 2026 Senate Map - The New York Times

 共和党の陰謀論者でMAGA(トランプ支持派)のスポークスパーソン、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州選出)も「このままでは共和党は中間選挙で負けてしまう」とラジオ・インタビューで警鐘を鳴らした。

 もっとも、負ける理由は共和党候補がMAGAのアジェンダを実現するようにトランプ氏に発破をかけていないからだ、という。

 同氏は2026年の中間選挙では上院に鞍替えすると公言しており、「トランプ氏にゴマをすって推薦してもらう腹ではないのか」(ワシントン政界筋)といった陰口を叩く者もいる。

MTG Warns Republicans Will Suffer Crushing Election Loss at This Rate | The New Republic