米国議会(Pixabayからの画像)

敗戦の将、トランプの政策こき下ろす

 米国のジョー・バイデン前大統領がホワイトハウスを去ってから117日経った5月7日、メディアとのインタビューに応じた。

「敗軍の将」がインタビューに応じたのは、米メディアではなく、英国営放送BBCだった。

(BBCは、「バイデン氏が公の場に出るのを民主党員たちはあまり歓迎していないようだったが、バイデン氏が退任以来初めて公の場に出て、我々との特別インタビューに応じた」と注釈をつけていた)

 不人気だった大統領が辞めた後、最初に英ジャーナリストとのインタビューに応じたケースは1977年、弾劾を辛うじて免れ、蟄居していたリチャード・ニクソン第37代大統領の例がある。

 バイデン氏がBBCを選んだのは、共通言語・文化を持つ英国のメディアとのインタビュー経由で自分の考えが客観的に米国民に伝わるメリットを狙ったものとみられる。

 表向きは「第2次世界大戦の『Dデイ』(ノルマンディー上陸作戦開始日)81周年を6月に控えて第46代米大統領が語る」と銘打った番組だった。

 しかし、大統領就任以後、大統領令を乱発してやりたい放題の「独善政治」を打ち出しているトランプ氏をどう見ているのか、「敗戦の将」に聞くのがBBCの狙いだったはず。

 バイデン氏は内政での批判は避け、終始トランプ氏の外交をこき下ろした。

「トランプ氏は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と馬鹿げた妥協をしてウクライナ戦争を終わらせようとしている」

「ウクライナはロシアに占拠された領土を放棄しようとしている。これは、1930年代、英国がナチスに領土を差し出した妥協策と同じようなものだ」

「北大西洋条約機構(NATO)を軽視するトランプ政権の言動は、米国への信頼を損ねてしまった。欧州各国政府による米リーダーシップに対する信頼もぐらつき始めている」

Joe Biden gives first interview since leaving the White House | BBC News - YouTube

(大統領末期には米メディアから高齢問題で叩かれ続けたが、今回のインタビューではバイデン氏の顔色は良く、それほど老いを感じさせなかった。ただ、時々咳をするのが気になった)