キスを交わし仲睦まじく見えるのだが…(写真は5月8日、ホワイトハウスで開かれた軍人の母親を称えるイベントに参加したトランプ大統領夫妻、写真:AP/アフロ)

恥も外聞もなくB747もらいに中東歴訪

 米国のドナルド・トランプ大統領が5月12日から第2期政権発足後初の4日間の外遊に出た。

(トランプ氏は4月26日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇の葬儀に出席のため夫人同伴でイタリア訪問はしている)

 行先は、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)の3か国。

 これに先立ち、ABCニュースは、カタール王室が超高級仕様の「ボーイング747-8」(ジャンボジェット機、4億ドル相当)をトランプ氏に贈与し、同氏はこれを受領する見通しだと報じた。

 カタール政府当局者は、「同機はトランプ氏が一時的に使用するために米国に移す可能性が現在検討されている」と述べた。

 カタールは同型機2機をボーイング社から買っており、贈与するのはそのうちの1機と見られる。  

 トランプ氏は、第1期政権の時に導入した大統領専用機「エアフォースワン」が老朽化したと以前から不満を述べていた。同機を管理・運航する米空軍は新型機を2027年までに納入する計画だったという。

「カタールはそれを見越してトランプ氏のご機嫌を取ろうとしたのだろう。トランプ氏は恥も外聞もなく、もらえるものは何でももらう質(たち)だということを知っているのだ」(ワシントン外交筋)

 問題は、大統領は議会の承認なしにこれだけ高額の寄贈は受けられないという法律の壁だ。

 民主党下院の司法委員会のジェイミー・ラスキン議員(メリーランド州選出)らは、保健福祉省(HHS)に設置されている監察総監室(OIG)に調査を要求した。

 違法か合法かの調査結果は保健福祉長官と議会に報告されるが、上下両院で共和党は過半数を占めており、OIGが違法判断しても同機の貸与は承認される可能性は大きいとみられている。

 米司法省はすでに、トランプ大統領の任期満了前に同機の所有権が国立公文書館経由で(将来設立される)トランプ大統領記念図書館に移されるならば、寄贈は「法的に許容される」と結論付けているようだ。

Trump to accept luxury jet from Qatar to use as Air Force One | CNN Politics

 かつて安倍晋三首相(当時)が高価なゴルフのパターをトランプ氏に寄贈したことがあるが、今回の寄贈額はそれとは桁違い。

今後、各国は競って貢ぎ外交に走るだろう」と、ある国務省OBは皮肉っぽく話す。