7項目和平案はロシアが得る具体的な利益を明確に示している

 ウクライナ最大の原子力発電所であり、現在ロシア軍が占領するザポリージャ原発は米国管理下に移管される。ロシアは現在占領するハルキウ州など2つの小規模地域を放棄、前線に沿って流れるドニプロ川をウクライナが自由に航行できるようロシア軍はヘルソン州の特定地域から撤退する。

現在はロシアの占領下にあるザポリージャ原発。トランプ政権は、ロシアとウクライナに和平成立後は同原発を米国管理下に移管することを提案している(写真:ロイター/アフロ)

 6項では米国企業がウクライナの天然資源にアクセスできるよう米国とウクライナは鉱物資源協定に署名する。7項では米国の対露制裁のすべてが解除され、米露両国はエネルギー・産業分野での協力を開始できるとしている。

 デーリー・テレグラフ紙によると、欧州は将来のロシア再侵略を止めるため安全保障の再保証部隊の派遣を検討中だが、米国はそれを保証する義務を負っていない。ウクライナが軍備を強化したり、欧州諸国が武器弾薬の供給を継続したりすることを阻む内容は含まれていない。

 ウクライナ政府に近い筋は米ニュースサイトAXIOSに対し「提案はロシアが得る具体的な利益を明確に示しているが、ウクライナが得るものは曖昧で一般的な表現に留まっている」と7項目和平案は極めてロシア寄りだとの見方を示している。