この神輿は「エリザベス神輿」といって、1989年に「エリザベス会館」という女装クラブが寄進して代々女装愛好家が担いできたという。ちなみに、この神輿はエイズ撲滅キャンペーンの一環として寄進されたというが、観光客には大受けだ。

「ファニー‼ ファニー‼」
外国人観光客たちの感想を聞いてみた。祖国に向けてライブ配信していたブラジル人は、「私の国ではこんな祭を開いたら警官が飛んでくるね。このライブを見ている視聴者はびっくりしていると思うよ」と、逆に日本についてのインタビューをしてきた。裸のような衣装で陽気にサンバを踊りながら町を練り歩くブラジルでも、ずばりその物はタブーなのだな。

オーストリアから来たという若いカップルは、「大阪、京都を観光していてネットでこの祭のことを知りました。驚きと笑いです。技術大国日本にこんな祭があるとは……。ミスマッチが面白いです」と笑顔で答えてくれた。

アメリカ人の夫婦はピンクの子宝飴(一個300円)を舐めながら、ひたすら「ファニー‼ ファニー‼」とはしゃいでいた。
イスラム教のイラン人もいた。「この写真を国に送っただけで、帰国したら鞭打ちだな」「じゃあ、なぜ見物に来たんだい?」と言うと、彼は「アッラーアクバル」(アッラーは最も偉大なり)と小声で3回繰り返した。

また同じイスラム教の国インドネシア人は「インドネシアの端っこにイリアンジャヤというパプア人が住む地域がある。そこのパプア人は男根に牛の骨を被せているだけで後は裸。でも奴らがこれを見たら腰を抜かすと思うよ」とクスクス笑った。
不謹慎だ、という声もあるというこの祭。しかし、昔から子孫繫栄、五穀豊穣を願って性器を祀る風習は日本の各地にある。男根の登場する祭もいくつかある。
ただ、この「かなまら祭」は少々度をこしているだけのことだ。イベントとしては楽しく騒いで写真を撮って、インバウンドへの貢献もバッチリだ。
満開の桜とピンクの巨大男根の奇妙なマッチングは絵になる。しかし新聞、テレビは決して取材に来ない。市報にも載らない。
理由は簡単だ。モノがモノだけに載せられないのである。