「元気に中国へ戻れるよう、応援してあげよう」と飼育員たちはファンに接するが、実際には彼らもまた「フーバオを失う悲しみを乗り越えられるのか」と不安な気持ちを抱えていた。それでも気丈に振る舞い、送り出す準備に余念がない。

飼育員まで人気者に
パンダのドキュメンタリーといえば、日本では2008年製作の『パンダフルライフ』がある。和歌山県のアドベンチャーワールドで生まれ育った双子パンダ、リュウヒンとシュウヒンがやはり4歳になり、中国に送り出す様子が映される。
『パンダフルライフ』に比べると、『私の親愛なるフーバオ』はさらにドラマチック。パンダ人気が長く続き、赤ちゃん誕生も別れも何度も経験している日本と比べ、韓国で初めての赤ちゃんパンダだったフーバオ。その熱量は推して知るべしだろう。
フーバオは監督が「アイドルよりもアイドル、芸能人よりも芸能人だったかもしれない」と語るほど、韓国中が愛と関心を寄せたスターパンダ。彼が生まれる前から世話をしていたカン・チョルウォン飼育員も同じく人気者で、手紙を渡したり、サインを求めたりするファンもいる。韓国では「パンダじいじ」「フーバオのおじいちゃん」として知られている。
