近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんが自殺

 公文書改ざんが発覚した数日後、近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんが自宅で自ら命を絶ったのです。赤木さんは森友問題の発覚後、上司の命を受けて森友関連の公文書改ざんをさせられていました。

 安倍首相の「私も妻も一切関係ない」という国会答弁と矛盾しないよう、交渉経緯をごまかす目的だったとされています。赤木さんは享年54。記録を正確に文書に残すことは公務員の基本であり、許されるものではありません。実際、公文書偽造罪の法定刑は懲役10年以下という重罪です。

 赤木さんに公文書改ざんを命じたのは誰か。この点をめぐって国会や世論は沸騰し、大阪地検特捜部も捜査に乗り出しました。

森友文書改ざん問題で会見した赤木俊夫さんの妻、雅子さん=2021年6月(写真:つのだよしお/アフロ)

 国有財産を管理する財務省理財局のトップだった佐川宣寿理財局長(のちに国税庁長官)は国会で、安倍首相の発言に沿った発言を続けていましたが、地検の捜査に対し、赤木さんとは別の近畿財務局職員は「国会対策のため書き換えた」と供述。大掛かりな隠蔽工作が行われていた疑いが浮上します。

 佐川氏らに対する公文書毀棄罪などの捜査は不起訴で終結しましたが、問題はまだ終わりませんでした。