「助っ人」はもう死語
さらに、NPBとMLBの経済格差がさらに拡大したことも大きい。
2024年時点のNPB選手の平均年俸は4713万円だが、MLBは7.6億円。格差は16倍にも広がっている。少し前まで「もう一つのトップリーグ」だと思っていた若手有望株も、この格差の大きさに二の足を踏むようになっているのだ。
2023年にDeNAにやってきたトレバー・バウアーは、20年のサイヤング賞投手。しかしDVのトラブルでMLBを追われ、トップクラスの実力のままNPBにやってきた。こうした移籍は1987年のボブ・ホーナー以来だ。当初は戸惑いを見せていたが、次第にNPBに適応すると圧倒的な投球を見せるようになった。
今季、DeNAへの復帰が決まったが、バウアーのNPBでの活躍はMLBが依然としてNPBよりもレベルの高いリーグであることを象徴している。
NPBは、1952年から「外国人枠」を設けている。金満球団が有力外国人選手を多数抱え込むことを防ぐためだ。当初、出場できる外国人選手は3人だったが、66年から2人となり、94年からは投手2人、野手2人の4人となり、さらに野手、投手ともに「最大3人」の4人と改訂されている。
しかし、現在では多くの球団は、4人以上の外国人選手を抱えている。「当たり」の外国人選手が少ないから、そうせざるを得ないのだ。多くは年俸も日本人選手と大差なくなった。
2024年時点で1試合でも1軍の試合に出た選手は7402人いるが、このうち17.9%の1324人は外国人選手だ。もはや「助っ人」という言葉も死語に近い。
筆者は、プロ野球の「多様性」を推進するためにも、そろそろ「外国人枠」を撤廃すべきではないかと思う。