先日このコラムで「指定管理者制度」について紹介した。自治体が所有するスタジアムをホーム球場にしていた球団は球場使用料という重い負担のために長い間、極めて厳しい球団経営を強いられていたのだが、指定管理者制度が作られて、そこについに風穴が開けられたというのが、そのコラムの主旨だった。
そして2006年、NPB球団で初めて本拠地球場の「指定管理者」になったのが千葉ロッテマリーンズだった。千葉ロッテの執行役員・事業本部長として「指定管理者」移行を推進したのが、現株式会社スポーツマーケティングラボラトリー(スポラボ)代表取締役の荒木重雄氏だ。
荒木氏に「指定管理者」導入の経緯を聞いた。
興行成立のためには不可欠な球団と球場の一体経営
「『指定管理者』という制度の存在を聞いたのは、2004年、千葉ロッテに入社する前でした。当時、私は東京大学で開かれていたスポーツマネジメントスクール(SMS)に通っていたのですが、主宰していた故広瀬一郎さんから『これからは指定管理者制度で、日本のスポーツマネジメントが変わる』と聞いていた。
そこで翌年2005年1月、千葉ロッテマリーンズに入社して、すぐ導入に向けての準備に着手しました。
プロ野球で『指定管理者』制度を活用したのは千葉ロッテが最初で、偶然にもJリーグの鹿島アントラーズさんと同じタイミングでした」
広瀬一郎氏(1955~2017)は、電通出身のスポーツコンサルタント。Jリーグの創設、FIFAワールドカップ日本招致に貢献。「スポーツマンシップ」の普及にも寄与した。
「指定管理者制度」は、2003年の地方自治法改正により導入が決定。3年の移行期間を経て2006年9月に移行された。
【地方自治法244条の2第3項】
〈普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。〉
簡単に言えば、これまで行政か行政の資本が入った第3セクター以外では管理運営ができなかった公共施設(税金で建てた施設)の管理運営を、民間に委託することができるというものだ。