「指定管理者」のメリットはどんなものだと認識していたのか?
「指定管理者になるというのは、目的ではなく、あくまで手段でしかなかった。プロ野球興行を成立させるためには、事業を行う球団と球場の一体経営が必要でした。ハードとソフトですね。さらにはお客様へのサービスという『三位一体化』を実現する必要がある。そのためには球場を持たないとどうしようもない。でも、当時は球場を自前で建設するという選択肢はなかった。だから指定管理者になることが必要だったということです」
意外にも「自由度」が高い指定管理者制度
「指定管理者制度」のポイントはどういうところだったのか?
「指定管理者というのは単に公的施設を民間に委託するということではなく、公的資産の資源を民間に委託して、民間の知恵を使って市民サービスを向上させる、ということなんです。そこまで踏み込まないといけない。
単に第3セクターがやっていた管理業務を民間企業が同じ予算でやるというのなら、予算を付け替えただけで、市民サービスの向上にはならない。
民間に委託する以上は、民間の知恵を使って市民サービスをよりよくしないといけない。それに、今までかけていたコストを安くする方がいい。
要するに行政がやるより、少ない予算で市民サービスがよくならないとやった意味がない。それがポイントなんです」
指定管理者制度という法律も、幅広い解釈の余地のある、自由度の高いものだった。
「地方自治法244条は、ざっくりしていて、きめ細かく書かれていない。あくまで『バイラテラル交渉』みたいなもので、民間と行政の1対1の交渉によって条件が決まるんです。
だから、私たちは千葉市との間で、私たちが思う『三位一体経営』のためのスキームを実現しようと思った。
要するに、球場の運営・管理だけでなく、場内の物販、飲食、スポンサー広告、さらにはイベントまで、球場を活用した『スタジアムビジネス』を行う。そういう指定管理者を考えていたんですね」