日本経済は何で稼いでいくのか?
しかも、最近ではサービスにかかる受取り・支払いの差額であるサービス収支で、デジタル赤字の傾向的拡大が言われている。確かに気が付けば、パソコンやスマートフォンで使うソフトの使用料のかなりの部分は結局海外に支払っている。また、「コンサル赤字」とも言われるようになり、企業や政府が使うコンサルタントに対する支払いのかなりの部分も海外に流出している。
このように、エネルギーや食料などの調達資金に日本経済として回せる稼ぎの分野は狭まっているようだ。もちろん、借り入れによってそれらを調達することはできる。低成長とはいえ日本経済の成長は続くと思われるので、心配し過ぎることはないが、将来、「日本経済は何で稼いでいくのか」という疑問は残る。
加えて、昨今の円安は、実感からすると行き過ぎている。円安は輸入の際に高いコストを負担することになる。
貯蓄や投資のリターンをインフレで調整すると、短期でも長期でも日本はまだマイナスだ。政策金利が0.5%に引き上げられてもそれは変わらない。今後、政策金利が過去30年なかった0.75%という水準に引き上げられても、長短金利が実質ではっきりプラスになることはなかなかなさそうだ。それは先進国の中で極めて異例である。
実質金利がマイナスということは、結局、ビジネスをやっても実質では儲からないということだ。もちろん、政策金利や国債金利は、金利の中でも信用度の高い主体にとっての金利であり、一番低いものである。したがって、全てのビジネスが実質で儲かっていないわけではない。それでも、政策金利や国債金利は、マクロ経済の基準となる金利であり、それが低いということは、他の金利も他の先進国と比べれば相対的に低いことを意味する。
実質金利がマイナスにとどまっていることは、日本経済全体として儲からないビジネスのウェイトが大きくなっていることを意味しているのではないか。つまり日本は、儲からないビジネスにヒト・モノ・カネをまだまだ縛りつけているのであろう。