あまりに堅調すぎる米国の経済・物価情勢

 もちろん、利上げを受けた労働需要の減少も認められるところで、だからこそ失業率は低下も上昇もせず安定しているわけだが、過去四半世紀の中で米国の雇用・賃金・物価情勢が最も強含んでいることは前ページの図表②からも明確である。

 過去の本コラムでも言及している「米国の生産性だけが図抜けて高い。よって中立金利も高まっている」という推論と整合的である。米国が利下げ路線を持続するにあたっては米国の経済・物価情勢は堅調過ぎると言っても過言ではない。

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 今回はトランプ政権発足後、初のFOMCということもあり関連質問が多く見られた。FRBのタカ派姿勢がトランプ大統領の志向と摩擦を起こす可能性は、今後もたびたび注目されるだろう。

 ただ、重要な事実は、あくまでもトランプ政権自身が終わらぬインフレの体現者であることに無自覚である以上、減税の恒久化や追加関税政策の断続的な実施が米国内の物価を上げることはあっても下げることはないという点である。