2.歴史のどの局面でも信頼度ゼロ国家

 北朝鮮の過去を振り返ってみて、その脅威はどうだったのか。

 北朝鮮は1968年、韓国の大統領府である青瓦台を襲撃した。83年には韓国大統領を狙ったラングーン爆破テロ、87年には大韓航空機爆破テロ、2010年には韓国海軍艦艇「天安」への魚雷攻撃などを行った。

 また、多数の日本人や韓国人などを拉致してきた。

 文在寅大統領就任直後の2017年には、金正日総書記の長男で金正恩氏の異母兄を「VX」という化学兵器(神経剤)を使って殺害している。

 金正恩氏の指示によるものであったのは間違いない。金一族による独裁国家北朝鮮は、テロ国家と呼ぶにふさわしい国家なのである。

 このようなテロを実行する国は、世界中を見ても北朝鮮だけだった。

 現在では、不法に隣国に侵攻し、占領地で住民を残酷に殺害し、国内の反対勢力の要人を殺害するロシアも同様の国家であると認識されよう。

 北朝鮮は、核開発を金日成時代から進めてきたが、核実験を2006年から2017年まで6回実施し、5回までに通常型の核実験に成功し、6回目には160キロトンの威力がある核実験に成功した。

 北朝鮮は、特に経済事情が悪化している時期に、米朝交渉(六者会合)において、2度の「核兵器開発の凍結や放棄」を発表し、石油・食料の支援を受けた。

 凍結されていた銀行口座も解除されたが、その間、水面下で核兵器や弾道ミサイルの開発を実施していたのである。

 ミサイルについては、交渉では凍結を表明しながら、短距離・中距離・ICBMの実験を多数回実施し、2022年にはICBM「火星17号」の実験に成功していた。

 また、2021年には、長距離巡航ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイルの実験にも概ね成功していた。

 前述してきた北朝鮮の行為は、謀略を巧みに使って米韓日を騙し、悪行を重ねてきたものであり、信頼できる一面もない信頼度ゼロの国だ。

 次に、南北融和を進めた文在寅氏の対北政策について、北朝鮮が本気で受け入れたものなのか、謀略だったのかを考える。