年金受給者も多い利用者が抱く「不安」

 実際、利用者の属性をみると、【グラフ2】にあるように年金受給者が半数を超えており、平均年齢は70歳近く、平均年収は400万円ほどとなっている。


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 資金計画をみると、夫婦だけか単身の居住者が多く、そこまで広い住まいは必要ないと考えている傾向が強い。

 平均所要額は3031万円で、そのうちの1687万円をリ・バース60で調達している。毎月の支払額の平均は4.2万円となっているので、年金受給者でも十分にゆとりをもって返済できる額ではある。

 そうはいっても、平均年齢が70歳近くになると、何かと不安が大きい。収入面では、ほとんどが年金頼りになり、利息払いだけとはいえ、無事に返済していけるのか心配する人も少なくないだろう。特に気になるのが金利の動向だ。

 住宅金融支援機構の住宅ローンであるフラット35は、全期間固定金利型で借入時の金利が完済まで確定しているので、借入中に返済額が増えるリスクはない。一方、リ・バース60はほとんどの金融機関で変動金利型のみになっている。一部、固定金利期間選択型を利用できる機関もあるが、金融機関にとっては市中の金利が上がっても、適用金利を上げられない全期間固定金利型はリスクが大きいので、全期間固定金利型を利用できる機関はなかった。

 そのため、住宅金融支援機構がリ・バース60の利用者に不安な点を聞いたところ、【グラフ3】にあるように「金利が変動した場合、月々の支払額が変わること」が55%でトップに挙がっている。

 例えば、借入額3000万円だと、金利3%なら毎月の利息支払額は7万5000円だが、4%になると10万円、5%では12万5000円に増えてしまう。年金生活では家計への影響が大きくなるので、不安に感じる人が多いのも当然だろう。


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 そのほか、「物件の売却を誰が行うのか、その方法」への不安を感じる人もいる。売却は相続人が行うが、先にも触れたように、最近はノンリコース型がほとんどなので、仮に築年数が長く売りにくくなっても、担保割れ分の負担はいらないので、その点での不安はさほど感じなくてもいいだろう。

 そのため、住宅金融支援機構では2025年からリ・バース60に全期間固定金利型を導入することを決定した。全期間固定金利型は市中の金利動向にかかわらず、適用金利が上がることはなく、返済額も変わらない。変動金利型に比べると、多少金利が高くなる可能性はあるが、それでも最初から分かっていれば、借入後の不安はなくなるだろう。