職場との関係をすべて失うことで起こるデメリット
まず1つ目は、試練を乗り越える機会を逃すことです。仕事をしていると、つらいことや厳しいことをいくつも経験します。しかし、それらの出来事を乗り越えようとする中で立ち向かうスキルが磨かれ、困難を克服する経験を積むことができたりするものです。
退職したいと思うほど追い詰められた時、退職代行を使ってその場から逃げ出すことを選べば、ビジネスパーソンとしての貴重な成長機会を失うことになってしまいます。
次に、退職代行サービスの利用グセがついてしまうことです。つらいことに立ち向かわず、その上、自らの口で辞めますと伝えるのははばかられるからと退職代行を利用して厳しい環境から逃れる味を覚えると、今後も職場で気に入らないことがあれば「また退職代行を使って辞めればいい」と安易に利用するクセがついてしまいかねません。
デメリットの3点目は、職場環境に左右され続けてしまうことです。退職代行を使ってでも辞めたいということは、職場に何らかの不満を感じているのだと思います。しかし、どんな職場でも、多少なりとも不満を感じることはあるものです。
職場環境に合わない面があるのなら改善を提案するなどして、より良い職場に変えていく努力をすることも大切になってきます。それができないと、今後も職場環境に振り回され続けることになります。
以上のようなイメージを伴うため、退職代行サービスの利用が自身にとってマイナスの評判につながりかねないことが4点目のデメリットです。何らかの不満があったとはいえ、職場は生活するために必要な給料を支給してくれていました。また、仕事で得たスキルや経験は多少なりとも自身にとって財産になっている面もあったはずです。
それらを恩と捉えた場合、自ら直接退職意思を伝えるのではなく退職代行を使って伝えるのは「職場に対して礼を欠いている」、「ケジメをつけずに辞めた」などという見方をされかねません。
どう思われようが辞めれば関係ないかもしれませんが、転職しても前職と仕事上の関係性が続くこともありますし、事情を知る人が転職して同じ職場になったり取引先になったりして、新しい形で関わりが出ることだってあり得ます。
最後5点目は、退職代行サービスを利用して辞めれば、その職場との良好な関係性は保てなくなることです。
いまは再入社を見越してアルムナイ制度を設けるなど、退職した後も社員との縁を大切にする職場は少なくありません。いずれフリーランスになるといったことがあった際、前職がありがたい取引先になる可能性だってあります。退職代行サービスを使うことで、基本的にそれらの可能性はすべて失われることになります。