2年4カ月の間に「64回」退職代行を利用された企業も
以上は働き手から見たデメリットですが、内容を一つ一つ裏返してみると、これらは退職代行サービスを利用された職場にとってもデメリットであることが分かります。
まず、退職代行サービスを利用されるとその時点で働き手との関係性が途切れて、職場としても問題点などを詳しく確認して次に活かす機会が失われます。
さらに、退職代行サービスを利用して辞めた人がいるという噂が職場内に広まることで誘発され、新たな退職代行利用者が次々に生まれて“使われグセ”がつく懸念もあります。退職代行モームリが利用者1万5934名に調査したところ、2年4カ月のうちに最も多かった企業では64回も退職代行を利用され、20回以上利用された企業が22社あったといいます。
そして、働き手に退職代行を利用されてしまうと職場環境が改善されないまま、他の働き手たちのモチベーションも低下する懸念が生じることになります。その結果、新たな退職者が出てくるという事態へとつながりかねません。
そうやって、退職代行サービスを利用されることは職場の評判を下げることになります。利用されたことをオープンにしていなくても職場内ではどうしてもある程度伝わりますし、いまは誰もがSNSなどを通じて世の中に発信できる時代です。
また、退職代行を利用して辞めた社員との関係性は基本的に断絶します。退職した後もアルムナイとして良好な関係を保つようなことにはまずなり得ません。人手不足かつ採用難の折、それも職場にとっては小さくないデメリットです。