「コモンズを軸に資本主義を変革する」とは?

 このLocal Coopは自治体の役割を補完するという目的の下、林が中心となって生み出した概念である。住民同士の共助と自治を促進すると同時に、自治体と連携しつつ、多様な公共サービスと地域経営を担う自治体のサブシステムという位置付けだ。

 別の回で詳しく書くが、大和高原のほかに、三重県尾鷲市でもLocal Coop 尾鷲が立ち上がっている。

 LC大和高原の場合、プロジェクトマネジャーとして月ヶ瀬に常駐している本間英規に加えて、奈良市が採用した5人の地域おこし協力隊がLocal Coopの日々の業務を動かしている。

 立ち上げ初期ということもあり、LC大和高原の代表理事はNCLの林など外部の人間が務めているが、住民の、住民による、住民のためのプラットフォームとすべく、いずれは住民の代表を理事に加えていくという。

 なお、林が率いるNCLは、今の資本主義をコモンズ(社会の共通資本)の再評価を通して変革するという旗印の下、企業や行政との協業の中で生まれたさまざまなプロジェクトを地域に実装している。言うならば、まだ見ぬ社会をかたちにすることを目指す、ソーシャルプロジェクトの“実装集団”である。

 地域おこし協力隊の制度を活用したローカルベンチャー事業をはじめ、ローカルの人材育成や自治体と協業したNCLの価値創造プロジェクトは少なくない。地域の社会課題に関心を向ける企業が増える中、日本郵政やトヨタ自動車など大企業からの出向者も受け入れている。

奈良市東部に位置する月ヶ瀬