白旗を掲げ始めた市町村
LC大和高原は、「大和高原」と呼ばれる奈良市東部地域の地域課題解決や新たな価値創造のためにつくられた一般社団法人。Next Commons Lab(NCL)、三ツ輪ホールディングス(三ツ輪HD)、株式会社TART(NEORT株式会社)の3社が設立した「paramita(パラミタ)」が中心となって2023年4月に立ち上げた組織だ。
NCLはローカルベンチャーの創出など全国各地のさまざまな地域課題解決に取り組む組織(一般社団法人と株式会社の二つの組織がある)、三ツ輪ホールディングスはガスや電力を扱う老舗エネルギー企業、TARTはSocial Token発行やコンテンツのNFT活用をサポートしている企業である。
高齢化と少子化、若者世代の流出などのため、地方の地域社会は存続が危ぶまれるレベルまで人口が減少している。65歳以上の高齢者が地域の人口の半分を占める「限界集落」という言葉は既に一般化しているが、日本地図に無数にある点に過ぎなかった限界集落は今後、日本地図を侵蝕するように面的に広がっていく。
現状、公共サービスやインフラの維持管理は自治体が手がけているが、人口が本格的に減少する時代に、これまでのように自治体がすべてを引き受けることは難しい。自治体の役割、自治体というOS(オペレーティングシステム)は、おのずと縮小していかざるを得ない。
その中で、持続可能な日々の暮らしを育み、地域の環境、経済、社会、文化を維持し発展させていくには、住民自身が積極的に地域に関わっていく必要がある。そこで、これまで自治体が担当していた「公助」の部分を地域住民による「共助」で補うために生み出されたもの、それがLocal Coopである。
「人口減少期に入った日本では、自治体による公共機能だけでなく、住民同士が支え合う社会基盤、新しいOSが必要になる」。NCLの代表理事を務める林篤志はLocal Coopの狙いをこう語る。