2つには、この会談は、トランプ大統領が在日米軍の駐留経費問題などでまっとうな対応をすることを世界に示せる格好の機会である。会談の前日には、中国の習近平主席との電話会談で、「一つの中国」という原則もあっさり受け入れていた。ここでも世界のスタンダードを受け入れているのである。

 3つには、トランプ大統領にとっての本命である通商・貿易問題では、これから麻生副総理とペンス副大統領との間で交渉に入るが、ここで日本の譲歩を迫るためにも、安全保障問題では、日本側に満足させる必要があった。

 これらのことが異例の厚遇につながったのであろう。

経済・貿易関係はこれから

 2月12日付朝日新聞によれば、「トランプ氏がこだわる二国間の通商交渉の提案は米国側からなく、日本車や円安への不満も出なかったという。同席した日本政府高官は「トランプ氏は『アメリカでいい車をつくってくれてありがとう』という感じで、和気あいあい過ぎるぐらいだった」という。

 だが、経済問題はもちろんこれからである。TPPを断念し、今後はアメリカとのFTA(自由貿易協定)の交渉を迫られることになるだろう。自動車輸出や円安問題だけではなく、豚肉、牛肉などの関税撤廃も議題になってくる可能性が高い。その時に、2人の蜜月関係がどう作用するのか。依然として、緊張した日米関係は続くことになる。

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