また、尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用範囲であることは、オバマ前大統領も明言してはいたが、共同声明に明記されたことは初めてであり、その意義は大きい。防衛相幹部が「満額回答」だと評価したのも当然であろう。

 だが同時に、日本は大きな責任も負うことになった。共同声明には、「アジア太平洋地域において厳しさを増す安全保障環境の中で、米国は地域におけるプレゼンスを強化し、日本は同盟におけるより大きな役割および責任を果す」ことも明記された。

 これは、日本やアジア太平洋地域の安全保障をアメリカ任せではなく、日本自身の軍事力強化や米軍への支援や共同作戦の強化という課題が、日本に課せられたということである。

 だがこれは当然のことと言ってよい。尖閣諸島の防衛は、一義的に日本自身が行うことだからだ。

駐留経費の負担増はなくなった

 トランプ氏は、大統領選挙中、在日米軍駐留経費の日本側負担問題について、「日本が100%負担せよ。さもなくば撤退する。必要なら日本自身が核兵器を持て」などと述べていた。

 だがこの点でも、2月4日に稲田朋美防衛相と会談したジェームズ・マティス国防長官が、記者会見で、日本の駐留経費負担は「お手本」と評価したように、トランプ大統領の選挙中の発言は覆されていた。おそらくマティス長官から話を聞いたのであろう。トランプ大統領は、「米軍を受け入れてくれている日本国民に感謝する」とまで発言し、大統領選中の発言を180度変えた。

 これで駐留経費負担増問題は、完全に解決したと考えて良い。これだけでも大きな成果である。