終息とはほど遠いコンゴ民主共和国の状況
感染の中心地であるコンゴ民主共和国の状況を見ると、いったん治まったかに見えたが、終息からは遠い状況が続いていると分かる。
49週は、疑い例が2632例、確定例が156例、死亡が29例だ。死亡率が1.1%で、従来強毒型は5~10%などといわれていたが、直近ではそれほど高くないのは不幸中の幸いといえる。男性が46.7%、15歳未満が49.3%、クレード1aと1bが流行している。
一部、報道では、コンゴ民主共和国などではワクチン接種が開始され、日本からも明治ホールディングスグループのKMバイオロジクスがワクチン供給に向けてWHOの緊急使用リストに登録したと報じられている。
そうした動きから見れば、アフリカ諸国での感染拡大は抑制に向かっているという印象も広がっているかもしれないが、まだそこまで到達していないと言えそうだ。
直近中国で確認された感染者は、コンゴ民主共和国に訪問歴のある人物だったと報告されている。アフリカの感染をコントロールできない限り、世界はリスクにさらされ続けることになる。
いったいなぜこれほどアフリカでの感染抑制が難航しているのか。
世界的な科学誌のサイエンスでは、北キヴ州や南キヴ州に潜入し、状況を12月にレポートしている。その内容を見ると、コンゴ民主共和国で感染を抑制できない状況を理解するヒントになる。
同レポートでは、2023年9月に、南キヴ州のカミトゥガのバー経営者で初めてエムポックスが確認されたところから報告している。このカミントゥガが、鉱山労働者やセックスワーカーが集まる町として知られている。エムポックスのクレード1bが広がった温床となったと考えられる。
サイエンスが伝えている感染者についての記述を見れば、なぜエムポックスが地域で広がったのかがよく分かる。