ここ数年、美容医療の問題が増えている(写真:Bojan Milinkov/shutterstockここ数年、美容医療の問題が増えている(写真:Bojan Milinkov/shutterstock)

(ステラ・メディックス代表、獣医師/ジャーナリスト 星良孝)

 美容医療と言われたときに、どのようなイメージが思い浮かぶだろうか。

 2024年であれば、「健康被害」「詐欺まがいの契約」「倫理観の欠如」などのネガティブワードが出てくるかもしれない。

 筆者はヒフコNEWS編集長として美容医療の取材を続けているが、確かに問題の多い一年だった。そうした状況も踏まえつつ、ここでは、2025年を展望する立場から、美容医療の問題について考察する。

 さまざまな問題があるのだが、今回は健康被害に焦点を当てる。筆者は脂肪吸引で命の危機を経験した女性を取材したので、その証言を紹介しながら、健康被害の問題がどういうものかを考えつつ、2025年の動きについて述べていく。

脂肪吸引であごの下に「血腫」が発生

 この12月に会ったのが34歳の瀬戸麻希さん。瀬戸さんは「中卒弁理士」と自ら名乗り、SNSで情報発信していた人だ。文字通り中卒の弁理士として、その投稿は世間の関心を集めていた。筆者もどのタイミングかは分からないが、SNSで見かけ、フォローしていた。

 この11月に、そんな瀬戸さんが美容医療で合併症を経験したことをSNSで投稿しているのを知った。これは大変なことだと思い取材を申し込んだところ、快く応じていただいたので、新大阪でお会いした。

 瀬戸さんが最初に投稿した写真は次のようなものだった。あご下に血腫が発生している。簡単に言うと皮膚の下に血だまりができたのだ。