神が工事を中断させた変わった方法、それは……!?

 では神はどうされたかというと、下界をご覧になってこう申された。

「人間が何千人、何万人という人員を動員し、多くの技師や職人に指示し、設計図を読んで高層建築物を造ることができるのは、人間どもが相互に一つの言語で話し合い、統制の取れた行動をおこなえるからである。つまり、人間どもは一つの言語を話すから、大きな集団の力を形成し、神に挑戦するがごとき不届きな超高層建築物を造ることになったのである」

 このように原因を分析されたのち、「もう二度と、人間どもがこのような集団行動ができないように、人々が話す言語をバラバラにして、誰もが相手の言っていることがまったく分からないようにしてしまおう。そうすれば、このような建築物を造るための組織形成、大量動員、集団行動を取れなくなるに違いない。一人一人のしゃべる言葉がまったく他の人間に理解できないようにして、地球上にバラバラに散らばらせてしまおう」と決められた。

 そして直ちに実行されたために、このブリューゲルの絵のように石切り工や石材工は指示を出す領主の言葉が理解できず、また石切り工同士も話ができず、動員された大量の建築職人や労働者も現場監督者の指示が理解できなくなって、建築現場は大混乱に陥った。そうしてバベルの塔は建築途中で放棄されてしまったのである。

 人間の言語は約1万種類近くにバラバラにされ、神はそれを見られてことのほか満足されたのである。そのため21世紀の現在でも、約7177の言語が地球上の人間によって話されているという。

 さて、ここから、このバベルの塔の絵からユダヤ人が学んでいることについて話をしよう。