管理職候補の早期選抜 画像提供:shutterstock.com/Andrii Yalanskyi

 優れた人材の確保、活用がますます企業の競争力を左右する時代になってきた。それに伴い、人事領域をつかさどる人間が経営に参画することの必要性が高まっている。人事戦略と経営戦略はどのようにリンクさせ一体化させるべきなのか? ヤフーで人事部門のトップを務め、現在は企業の人材育成や1on1 ミーティングの導入指導に携わるパーソル総合研究所取締役会長の本間浩輔氏が、「経営人事」を深掘りしていく。

 今回は『罰ゲーム化する管理職』の著者でパーソル総合研究所・主席研究員 執行役員シンクタンク本部長の小林祐児氏が提唱する「罰ゲーム化」を解消するための4つのアプローチ、その中でも「キャリアアプローチ」について詳しく見ていく。小林氏が唱える「健全なえこひいき」とは?

全ての社員に同じ機会を与える日本型の限界

 皆さん、こんにちは。本間浩輔です。この連載では、「経営人事の仕事論」というテーマで「経営人事」について深掘りしていますので、お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回も引き続き、『罰ゲーム化する管理職』で知られるパーソル総合研究所の主任研究員執行役員シンクタンク本部長、小林祐児さんとの議論を通して、忙しすぎる管理職の問題について深掘りしていきたいと思います。

 前回の終わりで、管理職を取り巻く今の状況を解決する4つのアプローチをご紹介しました。その中でも、小林さんが「健全なえこひいき」と称する「キャリアアプローチ」は会社の昇進や選抜の在り方を変えるもので、最も根本的な解決策だと強調していました。私が講師を務める慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)の講座「経営人事の仕事論」で小林さんが登壇した際の、参加者の振り返りのレポートでも「健全なえこひいき」に対するコメントが多くありました。

 なぜ最も根本的な解決策なのか。それは、次のような理由に基づいています。

 大半の日本企業は、新卒で採用した社員が同じようなタイミングで昇進していきます。ざっくり言うと、32~35歳で主任になり、38歳ぐらいで課長になり、45~50歳ぐらいで部長になるという流れです。全ての社員に同じ機会を与え、時間をかけて幅広く幹部候補を見つけていくという考え方です。

 それに対して、欧米企業では、一般的に幹部候補はほかの社員とは別に、選抜し育成します。こういった、ある種のエリート主義を採る企業も少なくありません。

 日本企業と欧米企業の昇進と抜てきについては、それぞれに良さがあると思いますが、最近は日本型の弊害が目立つようになっています。