富の源泉は言語にあり

 21世紀の世界の言語で、もっとも多く話されているのは英語と中国語であり、いずれも十数億人にのぼる。その次に多く話されている言葉がヒンドゥー語で約6億人、スペイン語も約6億人である。

 我々ユダヤ人は、このバベルの塔の物語から「言語こそ富の源泉である」と学ぶ。バベルの塔の物語は、統一された言語があれば、かくも巨大な建造物を造れるぐらいの富を手中に収めることができることを示唆していると学んだのである。日本の方々はバベルの塔の絵を見て、同じことを学ばれたであろうか?

 ユダヤ人がヘブライ聖書を勉強しだして数千年になるが、ユダヤの家庭ではバイリンガルならぬトリリンガル教育を基本とするようになった。

 ユダヤ人は、今住んでいるその土地の言葉、そして世界でもっとも多く話されている英語、そしてユダヤ人の言葉であるヘブライ語を、家庭教育で徹底して幼児の頃から学ばせる。だからユダヤ人は皆3つの言語を自由に操る。

 言語を自由に操ることによって富を形成したのはユダヤ人だけではない。オランダ人もそうである。東インド会社という巨大貿易商社を作ったオランダ人は、海運貿易によって巨大な富を形成した。

 今でもオランダの港は世界の港の中で最大規模を誇っているし、オランダ発の世界的な大企業としてフィリップス(PHILIPS)やユニリーバ(Unilever)などが存在する。その理由の一つは、オランダ人はユダヤ人と同じく多くの言語を自由に操る民族だということである。

 オランダの家庭では、オランダ語以外にイギリスのBBCはじめヨーロッパ各国の番組がTVで流されている。ユダヤ人の家庭も同じである。つまり、多くの言語を自由に操ることは、富を引き寄せるための前提であり必須条件であるということを、ユダヤ人はこのバベルの塔のエピソードから教えられたのだ。

 そしてもう一つ、オランダ人が成し得なかったが、ユダヤ人のみが成し得た言語の取得、それはコンピューター言語である。世界のIT産業、コンピューター産業は、ユダヤ人の独壇場であると言っていい。

 グーグル(Google)、フェイスブック(Facebook・現メタ〈Meta〉)、インテル(Intel)、モバイル通信関連企業のクアルコム(Qualcomm)、デル(Dell)などの創業者や、最近ではChatGPTのサム・アルトマンもユダヤ人である。

グーグルの共同創業者、セルゲイ・ブリンもユダヤ系(写真:ロイター=共同)グーグルの共同創業者、セルゲイ・ブリンもユダヤ系(写真:ロイター=共同)