「またトランプ政権が始まる…」疑心暗鬼の国際社会
こう見ると6人それぞれが、一筋縄ではいかない厄介な人物であるとの感想を持たれるのではないだろうか。
第2次政権にはさらに何人も厄介な人物がいるが、第1次政権では何がどうなるか想像がつかなかったのが、現在のところはコントロールできているように見えるのは、スージー・ワイルズ首席補佐官の「トランプ・コントロール」のたまものであろう。
前述したように、スージー氏はトランプ氏をドナルド・レーガン元大統領に寄せようとしている。先日のNBCでの単独インタビューで見せたトランプ氏の「私は全員の大統領になりたい」という発言は、そのことを改めて感じさせた。
こうした中、トランプ氏は12月7日、パリのフランス大統領府で、マクロン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領と3人横並びで姿を見せ世界の度肝を抜いた。
会談の中身はウクライナの停戦問題だったが、トランプ氏はトゥルース・ソーシャルに会談の内容を一部書き込んだ。全世界の記者は、「ああ、またトランプ政権が始まるのだ……」と覚悟したのではないか。
非公式ながら、第2次トランプ政権の幕は切って落とされた。国際社会は何が起きるか分からない疑心暗鬼の中で、トランプ流のジャングルクルーズに再び旅立つことになる。
松本方哉(まつもと・まさや)
ジャーナリスト。1956年、東京都生まれ。上智大学卒業後、1980年フジテレビに入社。報道局記者として首相官邸や防衛庁担当、ワシントン特派員などを務める。湾岸戦争、米同時多発テロ、アフガン戦争、イラク戦争などでは情報デスク、解説委員を務めた。2003年、報道番組「ニュースJAPAN」のメインキャスターに就任。専門は日米関係、米国政治と米国外交、国際安全保障問題。妻の介護体験を機に、医療・介護問題にも取り組む。日本外国特派員協会会員、日本メディア学会会員、白百合女子大学講師。著書に『突然、妻が倒れたら』(新潮文庫)「トランプVS.ハリス アメリカ大統領選の知られざる内幕」(幻冬舎新書)がある。