過去には不祥事も多発
政務官は各大臣の下に1〜3人を配することになっています。現在の総数は28人を数えます。「登竜門的な位置づけ」といっても、外務政務官や防衛政務官など国家の安全保障にかかわる重要なポストもあり、役割は決して軽いものではありません。
ところが、過去、政務官に就いた政治家の中には不正が発覚するなどして辞任した例が多数あります。政治的見解の相違や政策対立が原因でその職を離れたり、スキャンダルや不規則発言などで辞任したりしたケースも少なくありません。
記憶に新しいのは自民党の裏金事件に絡んだ辞任劇です。
2024年1月には小森卓郎・総務政務官(自民党、衆院・石川1区)と加藤竜祥・国交政務官兼復興政務官(自民党、衆院・長崎2区)が、派閥から裏金を受け取っていたとして、それぞれ辞任しました。このうち、加藤氏は報道陣に対し、「地方出身の議員が国土交通行政を担当できたことはやりがいを感じていた。道半ばの辞任は断腸の思い」と胸中を明かしています。
不正絡みでは、厚生労働政務官だった上野宏史氏(元自民党衆院議員)のケースもあります。裏金事件でも不正に資金を受け取っていたとされた上野氏は2019年8月、外国人労働者の在留資格認定をめぐって、金銭を受け取ることを前提にして人材派遣会社の要望に応じて法務省に問い合わせたとされました。
この口利き疑惑が週刊誌報道で表面化すると、上野氏は政務官を辞任。厚生労働行政に関する疑惑だったため、事実上の更迭とみなされました。
就任からたった3日で辞任に至ったケースもあります。自民党の参院議員だった坂本由紀子氏で、当選1期目の2007年のこと。坂本氏は第1次安倍改造内閣で外務政務官に就任しましたが、直後に自らの政治団体の会計で領収書を使い回し、会議費を重複して計上していたことが就任直後に発覚。辞任に追い込まれたのです。この事件では後に、政治団体の職員が政治資金規正法違反などで有罪判決を受けました。