私が厚労大臣だった頃を振り返ると、議員が経験を重ねて大臣になるので、与党の議員と内閣が利権で対立するようなことはあまりなかった。事前に自民党内の政務調査会で調整が済んでいるからである。

 地方自治体の場合、首長が与党と調整するときは、与党の幹部(ドン)を通じて行うことになるが、フィクサーの頭目のようなドンと対立すれば、政策遂行の邪魔をされることになる。今回の兵庫県の事例はその典型であろう。

 地方議会の抜本的な改革をしなければ、日本の地方自治は死滅する。

米大統領制の機能不全

トランプ次期大統領(写真:ゲッティ=共同)
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 次期大統領に選ばれたトランプは、精力的に人事を進めているが、イーロン・マスクをはじめ、側近で固めている。国防長官に任命されたFOXニュース司会者のピート・ヘグセスはペンタゴンを率いることができるのかと疑ってしまう。

 また、司法長官に選ばれたマット・ゲイツ下院議員には、未成年女性との性交渉疑惑が持ち上がったために、21日、本人が辞退した。そこで、トランプは、元フロリダ州司法長官のパム・ボンディを起用することを決めた。女性初の司法長官である。

未成年女性との性交渉疑惑が持ち上がり指名を辞退したマット・ゲイツ下院議員に代わって司法長官に指名されたパム・ボンディ元フロリダ州司法長官。就任すれば女性初の司法長官になる(写真:© Brian Cahn/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)
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 まさに、ブレーキ役不在の「やりたい放題」人事である。閣僚などの人事は上院の承認が必要だが、今は、上院も下院も共和党が支配している。つまり、ブレーキ役が不在になってしまう。これも大統領制の欠陥である。

 議院内閣制の場合、党内の国会議員による牽制球が投げられるので、首相は、勝手気ままな人事は行えない。