NATOの本部(写真は2022年11月14日、ウクライナ兵が訪問したとき、NATOのサイトより)

1 アジア版NATOとは何か?

「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」という場合、以下の3通りの解釈がありうる。

① 日本がNATO加盟国になる。

② アジアにNATO型の集団的自衛態勢を創設する。

 なおこの場合、地域的には、日韓台か、プラス東南アジアか、さらにインドまで加えるという3通りの範囲がありうる。

③ アジアに集団安全保障体制を創設する。

 この場合も地域については②と同じく、3通りの範囲がありうる。

2 NATOの歴史と変質

 冷戦期の1949年にNATOが創設された当時、その背景には、圧倒的に優勢なWTO(ワルシャワ条約機構)軍に対し、西側の自由主義圏の欧州諸国を防衛するための集団的自衛の必要性があった。

 1991年にソ連が崩壊し冷戦が終わった時点で、NATOは本来の使命を終えたため、解体されてもよかった。

 しかし、NATOは存続し、ソ連最後のミハイル・ゴルバチョフ大統領に、西側の指導者たちがNATOの東方拡大はしないと約束したにもかかわらず、その後NATOは東方拡大を始めた。

 そして、9.11世界同時多発テロを契機に、対テロ戦争の名目でアフガニスタンでのタリバン制圧などにも派兵され、アフガン派兵は2001年から2021年まで続いた。

 その背景には、NATOが変質し、グローバリスト、特に米国内ネオコン勢力の世界覇権拡大の手段に変質したという事情がある。

 その先駆けとなり、NATO域外への軍事力行使に踏み切ったのが、1999年のコソボ紛争でのNATOの空爆であった。