秘書や事務所職員も“失業”、落選の影響は大きい

 議席を失った国会議員はまず、大急ぎで議員会館の部屋をでなければなりません。議員会館とは国会に隣接して立つ建物で、議員の事務所が集合したビル。明け渡し期限は通常、投開票日の翌日から数えて3〜4日後で、今年10月27日の投開票だった衆院選では、10月31日までの退去が求められました。

 10月下旬、国会議員会館の周辺では、引越し業者のトラックが頻繁に出入り。エレベーターや廊下には養生がされ、行き交う作業員らで慌ただしい雰囲気に包まれました。

 今回の衆院選では、“裏金議員”と呼ばれた自民党議員(非公認を含む)を中心に大物や幹部の落選が相次ぎ、与野党合わせて90人以上が永田町に戻ってくることができませんでした。落選すれば、政治家本人だけでなく、場合によっては秘書や事務所職員も職を失うため、落選の影響は計り知れません。

 次の選挙で復活を目指す人は落選後から早くも地元で辻立ちや支援者回りを始めたようです。相応の年齢となって政界を引退した人は別にして、若くして政界へ戻らないことを決めた人は、セカンドキャリアを求めて活動していくことになります。

 現在の衆院はハング・パーラメント状態で、しばらくは不安定な政局が続きそうです。一部関係者の間では「次の解散は意外と早い」という見方も広がっており、「タダの人」になった人が再びバッジに挑戦する機会もすぐにやってくるかもしれません。

フロントラインプレス
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