国庫からの歳費や活動費は議員1人当たり4000万円超
衆院議員・参院議員の歳費(給与)は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」によって定められています。それによると、議員1人の歳費月額は129万4000円、年額では1552万8000円です。これに期末手当(賞与)が年間で635万円加わりますから、総額は約2187万円となります。
議会での役職がつくと月額は上昇し、副議長は158万4000円、議長は217万円になります。かなりの高額に思えますが、2022年4月、衆院の細田博之議長は参議院議員のパーティーで「議長になっても毎月もらう歳費は100万円しかない。上場会社の社長は、1億円は必ずもらう。普通の衆院議員は手取りで70万、60万くらい」と言い放ち、強い批判を浴びたことがあります。
国会議員は、歳費以外でも恵まれていることで知られています。
まず、「調査研究広報滞在費」(旧名:文書通信交通滞在費、略称:文通費)です。正副議長を含むすべての国会議員に毎月100万円支払われています。本来は、議員活動に要した経費に使うものとされていますが、使途の公開や領収書提出の義務がないため、実際の使い道は闇に包まれたまま。議員の裁量で自由に使えるとあって、永田町では「第2の議員歳費」と呼ばれています。
「立法事務費」も議員側に支給されています。議員1人あたり、月額65万円(年額780万円)が会派に提供されます。議員個人に直接渡されるわけではありませんが、これも使途の公開が義務付けられていません。
交通費に関する手当もあります。
よく知られているのはJR全線を対象とした無料パスです。しかも、グリーン車も乗り放題。現在は人気コメンテーターになった杉村太蔵氏がかつて26歳で衆院議員になった際、はしゃぎながら「(国会議員は)JR乗り放題らしいですよ。しかも全部グリーン車」と発言し、物議を醸したことがあります。
その制度は現在も変わっておらず、国会議員は地元と東京を往復する手段として①JR無料パス ②JRパスおよび1カ月当たり東京・選挙区間3往復分の航空券引換証 ③1カ月当たり東京・選挙区間4往復分の航空券引換証―のいずれかが支給されることになっています。
ただし、JRや航空会社が無料でこれらのサービスを提供しているわけではありません。無料パスなどの費用は国庫からJR・航空会社に支出されており、その額は1年間で十数億円に達しています。
このほか、国会議員には都心の一等地に安価な「議員宿舎」が用意されています。千代田区麹町の宿舎は2LDKで月額9万円足らず。また公設秘書2人分の給与も国庫から支払われます。