衆院選の結果を受けて新しい首相を選ぶ「特別国会」が11月11日に召集されることになりました。衆院選では自民・公明両党の与党が過半数を割り込み、「ハング・パーラメント」状態になっています。このハング・パーラメントという言葉は、先の衆院選後、しばしばニュースに登場するようになりました。正確にはどういう意味なのでしょうか。どんな歴史があるのでしょうか。ドイツではこの11月に連立政権が崩壊し、ハング・パーラメント下での政権運営の難しさが浮き彫りになったばかりです。日本語では「宙づり議会」とも呼ばれるハング・パーラメントをやさしく解説します。
政権運営が不安定に
ハング・パーラメント(hung parliament)とは本来、議院内閣制をとり、かつ、二大政党制が行われている国の議会(パーラメント)において、どの政党も単独で議席の過半数を獲得していない状態を指します。hungは「決着がつかない」「宙ぶらりんの」の意味。日本では、ハング・パーラメントを直訳し、「宙づり議会」「宙ぶらりん議会」と呼ばれています。
ハング・パーラメントになると、第1党が単独で少数与党となって政権を運営するか、複数の政党による連立政権が生まれることになります。今の日本のように、自民党と公明党が連立を組んでも少数与党になるケースも出てきます。いずれにしろ、この状態になると、各政党は少しでも自らに有利になるように政策協定を結んだり、少数政党が大事な法案を“人質”に取って与党に揺さぶりを掛けたりするようになり、政権運営は不安定さを増していきます。
では、まずは世界に目を広げて、ハング・パーラメントの実例を見ていきましょう。